常人ならざる「異能」の力を持つ者たちを擁する 「武装探偵社」と「ポートマフィア」。 二つの組織がしのぎを削る、ヨコハマの“現在”。 それより溯ること、七年前――。 ポートマフィアのボス・森鴎外は、煩わしい噂を耳にしていた。 港湾近くの貧民街に、弔ったはずの先代ボスが姿を現したというのだ。 調査を命じられたのは、これが初仕事となる十五歳の太宰治。 太宰は、訪れた街で、ポートマフィアと敵対する反勢力「羊」の長・中原中也と出会う。 彼と同じ十五歳の少年は「アラハバキ」なるものを追っていた。 神の獣が、地獄より蘇らせし怨恨の亡者。 憤怒の炎に秘められた、語られざる真実とは……? のちに、名を対なし、裏社会に轟かせる若き原石たち。 無垢なる羊は、何故にしてその身を闇に染めたのか? これは、「双黒」始まりの物語である。